清瀬市議会の委員会で陳情が採択されました
清瀬市議会に陳情を出しました
、清瀬市議会の総務文教委員会にて、 私が提出した陳情『性同一性障害に伴う通称名の公証に係る陳情について』を審議していただきました。 委員の皆様にご賛同いただき、無事委員会での採決は、全会一致での「採択」となりました。 議会への陳情提出までの経緯と、議会での審議の様子、そして、これからの行動プランの妄想について書いていきます。
文案を練って先月提出しました
陳情(当初は請願)の立案は昨年の秋も深まって冬になりそうな頃でした。 北村由衣として普段から暮らしているのにも関わらず、本人確認の場面などで、 呈示できる身分証が男性の戸籍名のために、不自由しています。 一方で、健康保険証は厚労省の通知を根拠に、北村由衣として利用ができるようになっていました。 マイナンバーカードや免許証など、行政が発行する本人確認に資する書類の記載事項の規定は、法律で定められています。
法改正が実現すれば、道が開ける。そのためにはどんなアプローチがあるのか。 一市民による行動としては、請願という手立てがあることを、うっすらと知っていました。 なので、請願の手引書を図書館で借りて読んでみたり、ネットで文例を漁ってみたりしました。 そして、A4用紙3枚ほどの請願書を練り上げました。 住民票への登録や、マイナンバーカード・各種免許証への通称名の記載を要望するものとしました
議員さんとの協議
請願の書面はそれとなく書き上げましたが、国会議員なり、地元の地方議員なりが紹介議員になってくださらなければ、 請願として議会に提出することはできません。 会社の同期の人(Tくん、としましょう)がたまたま公明党支持者で少し活動をしており、国政選挙の時に政治談議をしたことがありました。 わたしは政治活動歴がなかったので、「何か伝手はないか、請願という手立てを構想しているが議員さんに繋いでくれないか」 そんな趣旨でTくんに相談をしてみました。 Tくんは御両親経由で住んでいる区議さんに話を持ち掛けてくださいました。 そこから、私の住んでいる清瀬市の市議さんへと、連携をしてくださいました。
最初にお会いした清瀬市の市議さんは、公明党の齋藤あきこ議員です。 に清瀬市役所4階の市議会フロアにある会議室でTくんも同席して1時間半ほどお話をさせていただきました。 清瀬市公明党としてLGBTへの取り組みは深めているところで、協調できる旨お話しいただけました。
清瀬市議会は年4回の定例会が設定されており、直近の12月議会に向けるには陳情提出期限までの日程にゆとりがありませんでした。 請願として紹介するなら、党派として議論を深めてからの紹介にしたいが、確かに数日しかない状況は勉強して議論を深めるには足りないものでした。 そんなこともあり、22年3月議会を目標にしましょう、ということにしました。
年が明けてから、改めて議員さんと連絡を取り、清瀬市公明党の会派代表者を務めておられる鈴木たかし議員を含めてお話しさせていただくことに。 に改めて清瀬市議会の会議室で対面にてお話をさせていただきました。 請願文案の内容についてとても勉強していただいたようでした。 そして、請願の内容について党派を越えた賛同が得られるだろう、とのご見解をいただき、 紹介議員をつけない陳情というスタイルでの提出をご提案いただきました。
前向きな見通しがいただけたので、陳情として提出することに異議はありませんでした。 そのため、その場で持参していたノートパソコンで文案を修正し、陳情に書き改めて、 その場で議会事務局に提出しました。
陳情の提出者は、付託先での委員会審議にあたって、趣旨説明を話す時間がいただけるとの説明を受けました。 陳情の文面を練るのにもだいぶ書いて消して書いて消して…とやったのですが、まさかの文面練りタスク第二弾登場でした。
提出した陳情の文面は以下のPDFリンクからご覧いただけます
性同一性障害に伴う通称名の公証に係る陳情
なお、最初の3ページが陳情の本文で、最後の2ページは関連法規を集めた資料集です
総務文教委員会で審議に付されました
に開催された清瀬市議会令和4年第1回定例会の本会議において、 陳情の付託先は総務文教委員会とする旨が了承されました。 計4通の陳情がこの定例会には提出されており、私の陳情は3番目となっていました。
委員会の開催
、付託先である総務文教委員会が開催されました。
10時開会に先立ち、9時40分ごろに市役所へ到着。市議会事務局の職員さんより、趣旨説明の流れについて説明を受けました。
傍聴者カードを記入して傍聴席へ入場。
委員会室には、既に委員長や書記などの事務局さんと、審議に応じる市の職員さんたちが着席されていました。
開会時間が近づいたところで委員を務める市議さん方も入場されました。
10時の定刻に、委員長の「定足数に達していると認め、委員会を開会します」との宣言。 令和3年度の補正予算の審議が最優先で行われていました。 傍聴受付でお借りした審議資料を眺めながら歳入歳出の補正額や補正理由の説明を聞いて 審議が進むのを傍聴していました。45分ほど経ったところで補正予算は質疑も終結し、可決されていました。
補正予算案の審議が終わったところで、委員長が「議事を入れ替えて陳情を先に審議すること」を諮られ、 委員が「「異議なし」」と応えたため陳情の審議が始まりました。 計4本の陳情の内、趣旨説明のために提出者が出席したのは私を含めて3人。 陳情第2号『市内書店の存続施策に関する陳情』がまずは審議されました。 陳情の趣旨には私は同調していたのですが、市議さんが「特定の取引先を市議会として推奨することはいかがなものか」という、 それまた「確かになぁ…」と思ってしまうような意見を表明されていました。 この陳情は、挙手による採決の結果、賛成少数で不採択となっていました。
答弁に立つ市職員の入替えのため暫時休憩。いよいよ、私の番が近づいてきました
提出者による趣旨説明と質疑
11時頃、会議が再開され、陳情第3号『性同一性障害に伴う通称名の公証に係る陳情』が議題になりました。 すぐに、提出者からの趣旨説明を受けるため会議が休憩の扱いになり、私にスピーチの番が回ってきました。
当日読み上げた趣旨説明の原稿も置いておきます
趣旨説明原稿
3分経過するとベルが鳴らされて合図されてしまうのですが、鳴らされることなく読み上げました。
委員からの質問がありました。
香川やすのり議員からの質問:
健康保険証を通称名にしているとのことだが、どれくらいの期間利用しているのか。
また、この陳情以外に、関連するような活動を他にはしているのか。
私の回答:
私は昨年の秋に手続きして変更した。制度自体は2017年からで、まだ運用実績は長くない。
健保組合が個別に対応しているので、制度の利用状況の資料は得られなかった。
また、他の活動は現時点ではしておらず、この陳情が第一歩だと考えている
委員会を傍聴しての総合的な所感にもなるのですが、 議員からの質問って「あれもこれもそれも、いかがですか?」って問いかけて、 答える側は「あれについては~」「私はこの部分について回答~」みたいなスタイルになっていますね。 質問が一問一答ではなく、複数の疑問点がまとめて上がってくるのを、まとめて返すの、慣れてないと難しく感じます。
他の委員さんから私に向けた質問は無く、私は発言席から傍聴席へ戻りました
議員と市職員の質疑
委員会の休憩扱いを終え、審議が再開されました。 委員さんから、市に向けた質疑がありました。
2名の委員さんが質問をされていました。
城野けんいち議員からの質問:
清瀬市での通称名についての現況について。また、国から対応が通知された場合に市は対応できるのか。
また、マイナンバーカードについては旧姓併記の事例がある
市の回答:
外国人の通称について実績はあるが、性同一性障害を理由としたものは実績はない。法改正があれば、対応をする。
原田ひろみ議員からの質問:
投票所での本人確認で執拗に性別を確認されたり、名前を読み上げられたりした事例の報道がある。
投票場入場券で通称名が使えるようになったりしないか
市の回答:
法に基づいて対応する。現在投票所入場にあたり性別の確認は実施していない
陳情に際して住民票は考慮に入れていましたが、行政の現場として選挙の投票所での本人確認という場面があることは、 私は完全に失念していました。選挙でえらばれる議員さんとしての意識の在り方なのでしょうか、 私から抜けていた視点を補って質疑してくださったことはありがたいです。 また、原田委員が指摘されていた報道については、NHKのこちらの特集記事や、当時の報道が念頭にあったものと思われます
議員の意見表明
質問をする中で、原田委員は陳情の内容に賛成される旨の意見表明をされていました。
投票所に関した報道にあるような、当事者を傷つけるような事態が、本人確認という場面で日々繰り返されると思うと、
心を痛めてしまう。一日も早くハードルを越えられるようにしなければいけない
との発言でした。
正確な文言は議事録があげられないと掴めないですが、発言内容を聴いて、強い意志を感じました。
採決
質疑と意見が終結したところで、委員長から採択することにご異議ありませんか?
と諮られ、
「「異議なし」」と委員が応答。採決の結果、本陳情は採択となりました。
また、本陳情では市議会としての意見書の提出を要望していましたので、
意見書の内容は正副委員長に一任
についても諮られて、異議なし、とまとめられていました。
傍聴席
委員会室に設けられた傍聴席は、15人分くらいの椅子が並べられたスペースでした。
今回の委員会には、私の陳情を知って、4名、傍聴に来てくださいました。
委員ではない市議さんが2名、請願の相談をした齋藤議員の他、宮原りえ議員もいらっしゃいました。
宮原議員とは、先日のイベントで知り合いました。
また、同じく先日のイベントで知り合った一般の方も1名、来てくださいました。
委員会が終わった後、整然と話していて素晴らしかったと、褒めてくださいました。嬉しい。
もう一人は、数年前からゲーム「Minecraft」のマルチプレイサーバで知り合った方。
午後から池袋で用事があるから、とは言いつつ、わざわざ北関東から早起きして遠征してきてくれました。
また、他にも傍聴に来られてた方の内、私の次に議題になった陳情の提出者の方は、 採択されたことを祝福してくださいました。ありがとうございます
今後の動き
市議会の本会議
昨日の委員会での採決の結果は、の本会議に報告され、 清瀬市議会としての採決が行われる予定です。本会議にも、傍聴に行くつもりです。 意見書の文面もいち早く読める機会になると思いますし。
国会へ
陳情の参考資料にも挙げた通り、住民票の記載事項にせよ、マイナンバーカードや免許証の券面記載事項にせよ、 法律で規定されているものです。通称名併記の実現のためには、国会での法改正が必要になります。 今回の市議会では、与野党問わず党派を越えて賛同いただけました。これを追い風に、 国会への働きかけをしていくことになろうかと思います。 採決に関わった市議さんから、上部組織へとプッシュしていただければ、と思いつつ、 私としても、LGBTへの問題意識をお持ちの議員さんへコンタクトを取ってみるなど、 行動の舞台を、住んでいる清瀬市から、永田町へとステップアップすることになりそうです。
実際のところ、法改正の働きかけって、どうすればいいのでしょうかね…。 超党派の議員立法を狙うのか、縦割りの省庁をまたいで内閣提出法案にしてもらうのか…。 チョット猫サンニハ,ムズカシイ話ニャ🐈
つれづれ
昨年の秋から行動した市議会への陳情提出。 無事採択される流れに乗れたことは、嬉しく思います。 また、支持してくださる方々がいらっしゃることを実感できたのは良い経験でした。
清瀬市では先日市長さんがお亡くなりになったため、 今月末に告示、来月の初めに投票の市長選と、同時に市議会補欠選が行われます。 議会を身近に感じたこともありますし、投票には足を運びたいと、思います。 まぁ…投票所入場券はまだ戸籍名で発行されるでしょうから、 タンスの底の方から男性服を引っ張り出して、一瞬だけ男性のふりして、行きますかね。 マイノリティである故、すべてが社会に適合できて己の意のまま動けるとは、思ってないですからね。 事がすんなりと運ぶのなら、これくらいは、という妥協ができるところは多少融通して。
なんだかここ最近文章を褒められたことが多い気がします。 この陳情の文面はご相談した市議さん方から、また趣旨説明も傍聴くださった方々から。 また、このブログより先だってFacebookに書き込んだ議会報告も、読んだ方から分かりやすいとレスポンスがありました。 そして、職場でも本部長宛にメールを出したのですが、良い文面だ、とお褒めいただきました
会社のスケジュール共有アプリに、午前中は議会陳情のため不在、と入力しておきました。
そうしたら、気になったみたいで、総務のお偉い方からどんなことしてきたの?とか、会話に。
議会を動かすなんてすごいじゃん
といった反応をいただきました。
先日のイベント「カフェきよにじ」で受けたインタビュー、昨日の12時台後半に地域FMくるめラの番組内で放送されるはずだったんですが、 まさかの時間管理の事故で放送できず…。来週の同枠に先送りにされてしまいました…w 自分の声を聴くのは恥ずかしい気もしますが、来週FM++で聞こうかな。
国民健康保険での通称名利用
昨日、市役所に足を運んだついでに、保険年金課で国民健康保険への切替を想定した質問をしてきました。 現在使っている、通称名が表面氏名欄に記載された健康保険証を呈示した上で、 国民健康保険への切替時に追加で出す書類とかありますか?と質問をしました。
まさかのまさかで、保険年金課の3-4人が首をかしげながら相談したり、どこかに電話をかけたり、
また、隣の市民課の奥の方に座ってる人と相談をしたりなんだり。15分くらい待っていたように思います。
戸籍名での保険証発行になります
とのご回答。これは厚労省パワーを使う場面か、と。
厚労省の通知の存在を教授しました。調べておきます
とのご回答。勉強、しておいてくださいまし。
たぶん来週で現在の健保から退職に伴い脱退し、国民健康保険にいったん加入することになるのでね…。 医療費補助の自立支援も保険証の切替で手続きしなきゃいけないし、4月末で期限が切れるから更新もしなきゃいけないし。 なんだかお手続きが煩雑ですにゃあ…